
鳥
①鳥のゴハン
鳥の理想的なゴハン |
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主食はペレット |
副食として少量の配合飼料、青菜 |
米国では、鳥のゴハンといえばペレットです。
日本でも近年、鳥の栄養学が注目されるようになってきて
栄養的な問題から発生する病気が非常に多いことが分かっています。
以下になぜペレット食が理想なのか詳しく説明します。
小鳥用配合飼料(穀物種子)について
アワ、キビ、ヒエ、カナリアシードなどの穀物種子から構成されています。
これらの種子類は、低脂肪ですが、炭水化物を多く含有しています。
そのため、食べ過ぎると肥満になってしまいます。
また、含まれるアミノ酸の量が種の種類によって異なるので、
いろいろな種類の種子類を食べることによって
全体としてバランスをとる必要があります。
しかし、たくさんの量を与えてしまうと、
好きな種類の種子だけを食べて満腹になってしまい、
栄養が偏ってしまうので、配合飼料の意味がありません。
与える場合は、一日に食べきる量に制限して与えてください。
また、殻付きエサとムキエサがありますが、
ムキエサは、ビタミンやミネラルが少ししか含まれていません。
栄養的な価値がまったく異なりますので、与える場合は、必ず皮付きエサを与えてください。
そして、配合飼料の中には、緑やピンクの色を付けている粒が混じっていることが多くあります。
合成着色料を使用しているものは、与えないようにしてください。
油種子について
油種子とは、ひまわりの種、クルミ、麻の実、サフラワー、エゴマ、ナタネ、ニガーシード、
ピスタチオ、マカダミアナッツ、落花生、かぼちゃの種、アーモンドなどが含まれます。
これらは、たんぱく質やアミノ酸の含有量が非常に高いので有用ですが、
必要以上に脂肪分を多く含みます。
中型以上のインコ用、カナリア用の配合飼料には
たくさん含まれていますが、これらの種類の鳥が、栄養学的に脂肪分を多く摂取する必要はありません。
たんぱく質について
たんぱく質のうち、特に必須アミノ酸をいかにたくさん含んでいるかが問題になります。
穀物種子は全体的に少なく、要求量を満たしていません。
油種子は、必須アミノ酸の要求量を十分に満たしていますが、
脂肪分が多すぎるので常食することはできません。
必須アミノ酸は、羽毛、皮膚、くちばし、爪の材料になるものですので、
不足するとこれらに異常が発生します。
脂肪について
鳥の脂肪摂取量は、4%とされています。
穀物種子は、これを満たしていますが、
油種子はこれの約10倍量含まれており、高脂肪すぎます。
脂肪が多すぎると、肥満や脂肪肝の原因となります。
ビタミン類について
穀物種子は、ほとんどビタミンを含んでいません。
油種子には、ある程度含まれていますが、要求量には足りません。
ビタミンAが不足すると、皮膚や粘膜から細菌が感染しやすくなります。
また、痛風の原因にもなります。
ビタミンDが不足すると、くる病、骨軟化症、卵殻形成不全の原因になります。
ビタミンB1が不足すると、多発性神経炎によって栄養性脚弱を示します。
これは、特に要求量の高い雛を、ムキエサだけで育てた場合に多発します。
以上のように、小鳥用配合飼料(穀物種子)や油種子では、
十分な栄養を取ることができません。
これを補うためには、青菜やボレー粉が必要です。
青菜について
種子類に、不足しているビタミン、ミネラルを補う目的で与えます。
特に、穀物種子からはビタミンAをまったく摂取できませんので、
ビタミンAを多く含む種類を与えてください。
また、カルシウムを多く含む種類を与えてください。
カルシウムとリンのバランスは、リンがカルシウムの半分以下のものを選んでください。
小松菜、チンゲンサイ、シロナなどがおすすめです。
キャベツ、レタスなどは、ビタミンAやカルシウムが少ししか含まれていません。
果物類も、同様の理由でおすすめできません。
小松菜などの栄養価の高い青菜でも補いきれない栄養素もあります。
たとえば、ビタミンDは骨を正常に保つために必要ですが、
配合飼料や青菜にはまったく含まれていません。
また、青菜からは、ナトリウム、ヨードもほとんど補えませんし、
カルシウムも十分ではありません。
ボレー粉について
ボレー粉は、カキの貝殻を小さくしたものです。
カルシウムやヨードを補う目的で与えます。
緑やピンクに着色しているものは与えないでください。
白いものを与えてください。
ボレー粉を与えていれば、カトルボーンや塩土は与える必要はありません。
塩土は、大量に食べると腸閉塞をおこす可能性もあります。
また、塩土の上にフンや尿をするので、すぐにカビが生えてしまい、不衛生になってしまいます。
最近の報告ではカトルボーンや塩土は胃炎の原因になるとされています。
配合飼料に、適切な青菜とボレー粉を加えることで、
ある程度の栄養バランスが確保できます。
しかし、青菜やボレー粉を食べる量は一定ではありませんし、
鳥に必要な量を過不足なく与えることは、非常に困難です。
ペレットについて
鳥の総合栄養食であり、鳥が必要とするすべての栄養素が、
過不足なく含まれています。
特に、米国では鳥の栄養学が発展しており、
多くの研究をもとにペレットが製造されています。
これらを食べることによって、
羽毛の色艶がよくなり繁殖成績も格段に良くなるため、その差は歴然です。
当院では
ラウディブッシュ社 Roudybush
ハリソン社 Harrison
の各種ペレットを取り扱っています。
ペレットは、栄養的にまったく問題がありませんが、
欠点としては配合飼料のように「殻をむく」という鳥の本能的な
行動ができず、退屈してしまうことです。
そういう部分をフォローするために、ペレットを中心にして、
少量の配合飼料と青菜などを与えることが最も理想的だと考えます。
ペレットへの切り替えについて
いくら栄養的に優れていても食べなければ意味がありません。
最初は、エサとしての認識ができないため食べようとしない個体が多いです。
●まず、配合飼料を全部抜いて、ペレットだけを入れてください。
●便の状態を見て、しっかりとした盛り上がった
便をしているか、確認してください。
このような便は、ペレットを食べている証拠です。
●可能であれば、毎日同じ時間帯に、体重測定をしてください。
●緑色が濃く、ベチャッとした盛り上がらない
便が丸1日以上続く、または体重の減少が5%以上ある場合は
一度、元のエサに戻してください。
●体重が元に戻ったら、再びペレットだけにしてください。
これを繰り返しても、どうしても食べない場合は
ペレットをいつものエサに混ぜて
1~2週間かけて、その割合を増やしてください。
もちろん、便の状態と体重は監視してくだい。
②鳥クラミジア症 (オウム病)
鳥クラミジア症は鳥から人へ感染する人獣共通感染症です。
人に感染した場合はオウム病と呼ばれます。
感染した鳥でも症状を示さない場合も多いので、
飼い主が気が付かないうちに感染源になってしまいます。
特に、セキセイインコ、オカメインコ、ハト、九官鳥に多く見られます。
野生のドバトの保菌率は20%といわれています。
原因
Chlamydophila psittaciが病原体です。
偏性細胞内寄生性細菌で、細胞の中でしか増殖することができません。
病原体は感染した鳥の便、尿、唾液、涙、鼻汁、羽毛ダストなどに含まれ、
これを吸入または摂取することによって感染します。
多くは、ヒナ鳥のときに親鳥から口移しでエサをもらうときに感染します。
また、抱卵中に卵殻を通じて垂直感染することもありますし、
鳥同士がつつきあうことによる創傷感染も報告されています。
感染してもすべてが発症するわけではなく、
多くは症状を示さずに断続的に病原体を排泄し、
感染源(キャリアー)となります。
特に、ストレスがかかると多くの病原体を排泄します。
病原体は乾燥に強く、乾燥糞便中で100日以上も感染性を持っています。
潜伏期は数日から数週間です。
症状
元気消失、食欲低下、飲水量の増加、膨羽、羽毛の粗造化、脱水、低体温、
震え、削痩、涙、結膜浮腫、結膜炎、副鼻腔炎
くしゃみ、鼻水、肺炎、呼吸困難、ラセッル
下痢、未消化便、水様便
肝臓腫大、肝機能低下、黄から緑色の尿酸、くちばしの過長や脆弱化
神経症状、死亡
※すべての症状がみられるわけではありません。
診 断
遺伝子検査(PCR):クロアカスワブを材料にして、病原体のDNAを検出します。
治療
ドキシサイクリン(ビブラマイシン®)という抗生物質を使います。
最低45日間続ける必要があります。
ドキシサイクリンは、カルシウムやマグネシウムなどの金属イオンと
キレートを形成し、腸管からの吸収が阻害されます。
ボレー粉、カトルボーン、塩土などは与えないでください。
第二選択薬はエンロフロキサシンです。
治療が早ければ回復しますが、時期を逸すると多くの場合死亡します。
予防
人に感染する恐れもありますし、
一度回復した鳥でも再感染する恐れがあります。
人も鳥も予防するワクチンはありませんので、
感染しないように防御、消毒することが重要です。
鳥との濃厚な接触は避け、鳥に触ったら必ず手を洗ってください。
乾燥した便や羽毛ダストから感染しますので、
感染した鳥のケージ、エサ入れ、水入れ、止まり木は、よく洗浄し消毒液に浸漬します。
毎日消毒するため、ケージは2つ用意して、交互に使用するようにします。
十分に消毒することができない木製の止まり木、ロープ、
巣材および敷き藁などはすべて廃棄してください。
ケージの床は必ず網を引いて、鳥が排泄物を口にしないようにしてください。
清掃の際には、換気をよくしてマスクを着用してくだい。
推奨される消毒薬としては、ビルコン®、70%のイソプロピルアルコール、次亜塩素酸などがあります。
家庭ではハイター®の100倍希釈液、または熱湯消毒が有効です。
人のオウム病について
感染した鳥の便、唾液、涙、羽毛ダストなどを、
吸入または摂取することによって感染します。
口移しでエサを与える、キスをするなどの濃厚接触からももちろん感染します。
人から人への感染はしないとされています。
子供より成人に多く見られます。
潜伏期は10日ほどで、感染した人の症状はインフルエンザ様症状です。
発熱、咳、全身倦怠感、関節痛、肺炎などを呈します。
人においては、届出伝染病に指定されていて、毎年数十人が報告されています。
人のクラミジア感染症としては
Chlamydophila trachomatisが原因のトラコーマ眼病や性行為感染症、
Chlamydophila pneumoniaeが原因の肺炎(鳥とは関係がありません)
がありますが、これらとオウム病は別の病気です。
③PBFD
(オウム類の嘴・羽毛病)
Pcittacine Beak and Feather Disease
左右対称の羽毛形成不全、脱羽、くちばしの形状異常などを示し、最終的に死に至る病気です。
3才以下のあらゆるオウム・インコ類に感受性が高く、特にセキセイインコで多発します。
原 因
サーコウイルス科サーコウイルス属PBFDウイルスの感染が原因です。
感染した鳥の糞便、羽毛ダストに含まれ、これを吸入または摂取することによって感染します。
このウイルスは生体外環境において非常に安定性が高いです。
潜伏期は2週間から数年です。
症 状
甚急性型
初生ヒナにみられ、肺炎、腸炎、急激な体重減少を示し、死亡します。
急性型
1ヶ月前後の幼鳥にみられ、沈うつ、発育羽毛の異常を示し、フレンチモルトとも呼ばれます。
1~2週間で死亡することが多いです。
慢性型
若鳥から成鳥にみられ、羽毛の形成不全
(羽軸壊死による羽毛の未成長、羽軸内血液凝固、ねじれ、
ストレスライン、変色、羽鞘の残存、出血、折れ、くびれ、ねじれ、
発育停止、ストレスライン、変色、進行性の脱羽、脂粉の減少)を示します。
パターンがあり、ほぼ全身の羽毛が脱落する(ランナー)場合と、
羽毛の部分的な脱羽、発羽した羽毛の羽毛形成不全を示す場合と、
体幹羽毛には異常はなく、風切羽と尾羽にのみ
脱羽および羽毛形成不全を示す場合があります。
また、くちばしや爪の過長または脆弱化もみられます。
最終的には、リンパ系器官が傷害されることによる免疫不全状態に陥り、
二次感染による下痢、口内炎などを引き起こし、死亡します。
診 断
新生羽から、遺伝子検査(PCR)によってウイルスを検出します。
複数回の検査が必要な場合もあります。
治 療
多くは徐々に進行して免疫不全になるため、
免疫賦活剤、二次感染の予防を目的とします。
まれに、遺伝子検査で陰転し、完治した例もあります。
プロゲマニウム(セロシオン®):抗ウイルス剤であり、飲み薬で投与します。
インターフェロン:抗ウイルス剤であり、週に1回皮下注射します。
抗生物質:二次感染の予防のために、飲み薬で投与します。
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